ペンネーム図鑑

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李  恢成(り・かいせい)

「イ・フェソン」とも。樺太生まれ。早稲田大学第一文学部露文科卒業。朝鮮総聯中央教育部学生課勤務、朝鮮新報社、経済誌記者、法政大学法学部専任講師、など。『またふたたびの道』、『約束の土地』、『流民伝』、『青春と祖国』など。

リービ 英雄(ひでお)

本名同じ。英語名Ian Hideo Levy。カリフォルニア州バークレー生まれ。父はブルックリンで育ったユダヤ系、母はポーランド系のアメリカ人。Hideoの名前は戦時中に日系人収容所に入れられた父の友人の名前にちなんで名付けられた。外交官だった父は戦後、国民党が支配した台湾に赴任。日本人が建てた屋敷に住んだ。一時は香港にも住んだが、両親が離婚して弟とともに母とアメリカに帰国。後にアメリカ領事になった父親と16歳から日本で暮らすことになる(面接権が認められた)。早大、東大、成城大で『万葉集』を学び、『万葉集』の英訳によって全米図書賞を受賞し、スタンフォードの教授にもなるが、日本に「越境」してくる。プリンストン大学助教授、スタンフォード大学日本文学準教授を経て、1994年より法政大学教授。小説『星条旗の聞こえない部屋』で1992年野間文芸新人賞受賞。「日本語を母国語としない外国人」による初の本格的日本語小説として話題を呼ぶ。

隆(りゅう) 慶一郎

本名・池田一朗。東京・赤坂生まれ。東京帝国大学文学部仏文科卒。東京創元社に入社。立教大学や中央大学ではフランス語の助教授として59年まで勤務し、同年に今村昌平監督の映画『にあんちゃん』の脚本を執筆。その後テレビ『鬼平犯科帳』をはじめとして映画、テレビの脚本家として活躍した。86年に隆慶一郎のペンネームで伝奇時代小説『吉原御免状』を発表してデビュー。行きつけの串揚屋の女将さんが名前に凝っているのでお願いした。恩師の「辰野隆(ゆたか)」の一字が入っていたので気に入った。

龍膽寺(竜胆寺) 雄(りゅうたんじ・ゆう)

本姓・橋詰。竜胆とは「りんどう」だが戦後、サボテンの栽培・研究で世界的に有名に。吉行エイスケと同世代で『放浪時代』『アパアトの女たちと僕と』。映画『下妻物語』の舞台となる下妻を描いた『下妻の追憶』というのがある。

リリー・フランキー(Lily Franky)

本名、生年月日、出身地は公表していない日本人男性。本名は中川雅也(なかがわ まさや)だという話もある。正式なペンネームは“リリー・フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド”。由来はフジテレビの番組「ココリコミラクルタイプ」のオープニングでも使用されている「RELAX」を歌うアーティスト“Frankie Goes To Hollywood”から。「リリー」は大学時代の友人とあまりに仲が良く友人から「薔薇と百合(リリー)みたい」と呼ばれたことから。イラストレーター。コラムニスト。ほかに構成作家、写真家、プロデューサーなど多くの肩書を持つ。日本美女選別家協会会長としても知られる。著書に『誰も知らない名言集』『美女と野球』など。本人の意向から流通段階で汚れやすい白い表紙と壊れやすい金の縁取りとなり、本屋大賞を得た『東京タワー オカンとボクと、時々オトン』が大ブレイク。久世光彦は「泣いてしまった…。これは、ひらかなで書かれた聖書である」と話したが、ドラマ化の前に死去。「Elvis Woodstock」(エルヴィス・ウッドストック)の名義でリリメグやサディスティック・ミカ・バンド、木村拓哉「君がいる」の作詞も。

佐野洋子との対談集『人生のきほん』(講談社)では次のように話している。

リリー リリーというのは、大学時代のあだ名。苗字が中川(なかがわ)なので、リリー中川って、マジシャンみたいな感じで。なぜリリーかというと……。同じクラスにクラシックギターがうまい仲のいい友達がいたんです。東京に来て初めて、クラシックギターを弾く人を見たんですね。僕の二万円くらいのギターで、バッハとか弾くんですよ。それに感動して、毎日家に来て、ギターを弾いてもらっていたら、「どうもあいつら、あやしい」ということになって(笑)。「百合と薔薇みたい」ということで、僕のあだ名はリリー、その人はローズと。
佐野 フランキーってのは?
リリー そのときフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドというゲイのバンドがあって、リトル・フランキーさんという小人プロレスの人の語感もいいなと思ってたんです。それからボーイ・ジョージが、自分の名前のことを「聞いたときに男か女かわからない名前をつけたかった」というのを聞いて、僕もそうしたいと思って、リリー・フランキーにしました。この名前のせいで僕の本、二冊目くらいでも、八重洲ブックセンターの外国人図書の棚にありました。

冷泉 彰彦(れいぜい・あきひこ)

『トロイの木馬』『「関係の空気」「場の空気」』などを出している人だが、本名・前田文夫で、ペンネームにする必要性がまるで感じられない。でも、「冷泉家」の名前にするのは便利だろうなと思う。

連城 三紀彦(れんじょう・みきひこ)

本名・加藤甚吾(じんご)。愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。「変調二人羽織」にて「幻影城」の第三回幻影城新人賞小説部門受賞。

ローヤー 木村

2003年にバカ売れした養老孟司『バカの壁』のパロディ本『リコウの壁とバカの壁』の作者。相手を「話してもわからない人」と決めつけてしまうと、できる話もできなくなり、「ウスバカの壁」に入ってしまう。「バカの壁」は自ら崩れ落ちる運命にあり、それより怖いのは「リコウの壁」だという。このローヤー木村とは牢屋に入っている無名作家ではなく、牢屋から守る方の弁護士・木村晋介である。弁護士だから“lawyer”とそのまんまなのであるが、養老孟司と闘うためにはペンネームではなく、リングネームが必要だったらしい。木村晋介(きむらしんすけ)は1945年長崎県生まれ。中央大学法学部卒業。椎名誠・沢野ひとしたちとの共同生活でわいわいやっているうちにいつのまにか『本の雑誌』設立メンバーの一人になった。オウム事件の頃はテレビに出ずっぱりだった。

序文

後記

文献

HP

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First drafted 1998
(C)Kinji KANAGAWA, 1995-.
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